2025.12.15

ひざ関節痛

人工ひざ関節の「失敗例」が起こる本当の理由|手術は成功したのに、なぜ膝が良くならないのか

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「思い切って人工ひざ関節の手術を受けたのに、
痛みが残る・曲がらない・伸びない・歩きにくい

実は、こうした声は決して少なくありません。

ここで誤解してほしくないのは、
手術そのものが失敗だった、という話ではないということです。

多くのケースで問題になるのは、
? 手術“前後”のリハビリと身体の使い方です。

よくある人工ひざ関節の「失敗例」と感じられるケース

現場で実際によく見かけるのは、次のような状態です。

  • 手術後、膝がまっすぐ伸びない

  • 曲がりはするが、突っ張って怖い

  • 太ももに力が入らない

  • 歩くと膝の前や内側が重だるい

  • 正座どころか、長く歩けない

「執刀医は有名な先生だった」
「手術自体はうまくいったと言われた」

それでも、生活が思ったほど楽にならない。
このギャップが、「手術は失敗だったのでは…」という不安につながります。

なぜ人工ひざ関節は「手術ありき」で進んでしまうのか

人工ひざ関節(TKA)を考え始めると、多くの方がまず気にするのは、

  • どの病院で手術を受けるか

  • どの医師に執刀してもらうか

  • 手術の実績や症例数

といった 「手術そのもの」 です。

もちろん、執刀医選びは大切です。
ただその一方で、

  • 手術前に膝や身体の状態をどこまで整えるか

  • 手術後にどんなリハビリを、どれくらい行うか

といった視点は、ほとんど語られないまま話が進んでしまいます。

理由のひとつは、現在の医療体制です。

人工ひざ関節は、
短期入院(2泊3日程度)→外来フォロー
という流れが一般的で、
手術前後に十分なリハビリ時間を確保しにくいのが現実です。

その結果、

「手術は成功した」
=「あとは自然に良くなる」

という認識が生まれやすくなります。

しかし実際には、
人工関節を入れただけでは、膝はうまく使えるようになりません。

手術によって膝のアライメントは変わりますが、
身体の使い方や動作のクセは、
意識して修正しない限り、手術前のまま残ってしまいます。

このギャップこそが、
「うまくいかない」「失敗だったのでは」と感じる
大きな原因になっているのです。

失敗につながりやすいポイント

①手術前に「アライメント」を整えていない

変形性膝関節症の多くは、

  • O脚
  • 膝のねじれ
  • 股関節・足首を含めたアライメントの崩れ

を抱えています。

この状態のまま手術を受けると、

  • 膝を支える太ももの筋肉(内側広筋)がもともと働きにくい
  • すでに使い方のクセが強い

そこに手術という侵襲が加わると、
「力を出すどころの話ではない」状態になります。

②術後2週目までのリハビリが足りていない(ここが本当に大切)

手術後、とくに大切なのが
抜糸が終わってからの10日〜2週間ほどです。

この時期に、

  • 膝をできるだけまっすぐに伸ばす

  • 少しずつ曲げる

  • 膝のお皿をやさしく動かす

  • 膝まわりの皮膚を動かす

といったケアをしておかないと、
膝の中や周りが固まりやすくなります。

一度固まってしまうと、
あとから頑張っても、元に戻すのは簡単ではありません。

とくに多いのが、
? 膝が最後まで伸びきらないまま固まってしまうケースです。

膝が伸びないと、なぜ困るのか?

膝が伸びない状態が続くと、

  • 太ももの筋肉がうまく使えない

  • 膝のお皿が動きにくくなる

  • 歩くたびに膝に負担がかかる

といったことが起こります。

その結果、

「人工関節は入っているのに、手術前より歩きにくい気がする」

と感じてしまう方もいます。

③「身体の使い方」を変えていない

人工ひざ関節の手術では、
膝の向きや位置関係が大きく変わります。

そのため、

  • これまでの立ち方

  • 歩き方

  • 膝をかばう動き

をそのまま続けていると、
新しい膝とうまくかみ合わなくなることがあります。

手術後に大切なのは、

  • 正しい立ち方を覚え直す

  • 体重のかけ方を見直す

  • 太ももや股関節を上手に使う

といった身体の使い方の「再スタート」です。

これを行わないと、
「人工関節を入れたのに楽にならない」
という状態になってしまいます。

PRO-motionが考える人工ひざ関節のコンディショニング

PRO-motionでは、
人工ひざ関節(TKA)を
「手術前から手術後までを一つの流れ」として考えています。

実際には、

  • 手術前から、膝だけでなく
    股関節・足首・立ち方まで含めた身体の状態を確認する

  • 手術後は、
    膝が伸びなくならない・曲がらなくならないための
    可動域のケアを丁寧に行う

  • 固まりやすい膝まわりや皮膚・筋肉に対して、
    早い段階から癒着を防ぐための対応を行う

  • 人工関節の膝に合った
    立ち方・歩き方・体重のかけ方を一から練習し直す

といったことを、一貫して行います。

実際に多いご相談内容

PRO-motionには、

  • 「手術は終わったが、膝が伸びないまま固まってしまった」

  • 「リハビリは終わったと言われたが、歩くと違和感がある」

  • 「年齢のせいと言われたが、まだ何かできる気がする」

といった、
術後にうまくいかず悩んでいる方からのご相談が多くあります。

人工関節を入れたからといって、
身体が自動的にうまく動くようになるわけではありません。

「コンディショニング」という選択肢

PRO-motionが行っているのは、
単なる筋トレやマッサージではありません。

その方の状態に合わせて、

  • 今、どこが動いていないのか

  • どこがかばいすぎているのか

  • なぜ歩きにくさが残っているのか

を分析したうえで、

「整える」→「動かす」→「使い直す」
という段階を大切にしています。

手術が失敗だったと感じている方へ

「人工ひざ関節の手術は失敗だった。」
そう感じている方も少なくありません。

しかし実際には、

  • 可動域が少しずつ改善した

  • 歩く不安が減った

  • 日常生活が楽になった

というケースは、決して珍しくありません。

適切な評価とコンディショニングを行うことで、
改善できること、楽になる動きはまだたくさんあります。

人工ひざ関節のあとに、
「どうしたらいいか分からない」と感じている方にとって、
コンディショニングという選択肢がある
そのことを知っていただければと思います。

まとめ|人工ひざ関節で後悔しないために本当に大切なこと

人工ひざ関節(TKA)は、
「手術をしたら終わり」ではありません。

うまくいっている方に共通しているのは、

  • 手術前から身体の状態を整えている

  • 手術後、早い段階でしっかり動かしている

  • 新しい膝に合わせて、動き方を見直している

この3つです。

逆に言えば、
「失敗だったかもしれない」と感じるケースの多くは、
手術そのものではなく、その前後の過程に原因があることがほとんどです。

もう手術をしてしまった場合でも、遅くありません

「もう人工関節を入れてしまったから…」
そう思われる方も多いですが、決してそんなことはありません。

  • 膝の伸び・曲がりの改善

  • 固くなった周りの組織へのアプローチ

  • 身体の使い方の修正

これらは、手術後しばらく経ってからでも改善できるケースが多くあります。

大切なのは、
「年齢のせい」「手術したから仕方ない」
と諦めてしまわないことです。

手術を考えている方へ

これから人工ひざ関節を考えている方は、

  • 手術前にできる準備はあるか

  • 手術後、どこで・誰がリハビリをみてくれるのか

  • 退院後のフォロー体制はどうなっているのか

ここまで含めて考えることで、
手術後の満足度は大きく変わります。

最後に

人工ひざ関節は、
「入れること」よりも
「その後どう使っていくか」 が何より大切です。

正しく整え、正しく動かすことで、
人工関節はあなたの生活を支える
心強いパートナーになります。

もし、

  • 手術後の経過に不安がある

  • これで本当に合っているのか分からない

  • もう少し楽に歩けるようになりたい

そう感じているなら、
一度きちんと身体を見直すことが、
次の一歩につながります。

執筆

片浦 聡司

PRO-motion代表取締役 / 理学療法士 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT) / (公財)日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ(水泳競技(2015~2016))

名古屋大学医学部卒。急性期病院で整形外科領域を中心に臨床経験を積み、姿勢・動作の分析から痛みや不調の原因を見立て、再発予防につながるコンディショニング指導を得意とする。
2015年より2年間、JOC医科学強化スタッフとして国際大会(ユニバーシアード等)にも帯同。
高齢者からトップアスリートまで幅広くサポートしている。

体験プログラムのトレーニング風景 体験プログラムのトレーニング風景 体験プログラムのトレーニング風景

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