2025.12.11
ひざ関節痛
鵞足炎が“治らない”本当の原因|膝の内側がいつまでも痛い人は伏在神経が動いていない?
目次
鵞足炎と間違えやすい“伏在神経痛”とは?|神経が動かない=滑走不全の正体
膝の内側が痛むと、多くの人がまず疑うのが「鵞足炎」です。
膝の少し内側・やや下あたりに痛みが出るため、確かに鵞足炎と症状がそっくりです。
しかし実際には、鵞足炎では説明のつかない内側痛が存在します。
その代表が、今回取り上げる 伏在神経(ふくざいしんけい) が原因の痛みです。
伏在神経とは?(鵞足部のすぐ近くを走る“感覚神経”)
伏在神経は、大腿の内側を下降し、
膝の内側〜すねの内側の皮膚に感覚を送る末梢神経です。
この神経は皮膚・脂肪・筋膜のあいだを通り、
特に 鵞足(薄筋・縫工筋・半腱様筋)や MCL(内側側副靭帯)と非常に近い位置 を走行します。

そのため、
-
押すと痛い
-
立ち上がりでズキッとする
-
ストレッチで内側が突っ張る
といった症状は、鵞足炎とほとんど同じに見えます。
神経は“滑る”構造でできている
意外に知られていませんが、神経はゴム紐のように 伸び縮みする“動く組織” です。
歩く・しゃがむ・膝を伸ばすなどの動作に合わせて、周囲の組織の中を “するする” と滑ることで正常に機能します。
しかし、
-
内側荷重(knee-in)
-
O脚
-
股関節の使い方のクセ
-
大腿内側の筋膜の硬さ
-
膝内側の軽い炎症が続く
といった要因が重なると、神経が 皮下組織や筋膜に貼り付くように動かなくなる ことがあります。
これが “滑走不全(かっそうふぜん)” です。
滑走不全が起こるとどうなる?
神経が滑らない状態では、
膝を伸ばす・体重を乗せるといった日常の動きで 神経が引っ張られてしまう ため、
-
内側だけピリッと鋭い痛み
-
ストレッチ時の突っ張り
-
歩き始めのズキッとした痛み
-
マッサージでは変わらない局所痛
といった、“鵞足炎とは一致しない特徴的な痛み” が起き始めます。
特に、アキレス腱伸ばしの姿勢(後ろ脚の膝を伸ばす姿勢)で膝内側が痛む
のは、伏在神経の滑走不全に非常に多いパターンです。
鵞足炎と伏在神経の痛みの違い(鑑別ポイント)
膝の内側が痛む場合、鵞足炎(筋・滑液包の炎症)と、伏在神経の滑走不全(神経の問題)は非常に似た場所に症状が出ます。しかし、痛みの質・出る動作・改善しやすさ に明確な違いがあります。
以下のポイントを押さえると、両者の鑑別がぐっとしやすくなります。
| 違い | 鵞足炎 | 伏在神経痛 |
|---|---|---|
| 痛みの質 | 鈍い、広い | ピリッ、鋭い、点 |
| 悪化動作 | 階段・ランニング | 膝伸展(伸ばす動き) |
| 改善 | ストレッチで楽になる時も | ストレッチで痛む |
| マッサージ | 効きやすい | 効きにくい/すぐ戻る |
| 層の深さ | やや深い | 浅い(皮下) |
伏在神経は鵞足(薄筋・縫工筋・半腱様筋)のすぐ近くを走るため、
痛む場所・痛む動きが鵞足炎とほぼ一致 します。
ただし、
筋肉ではなく“神経が滑っていない”ため起こる痛み なので、
ストレッチやマッサージの効き方が全く違います。
特に、
-
「伸ばした時だけ痛い」
-
「ピリッとした電気のような痛み」
-
「マッサージで一瞬良くなるが、すぐ戻る」
こういった症状は、伏在神経滑走不全を疑う強いサインです。
治らない膝内側痛への対処法|伏在神経モビライゼーション+アライメント改善が鍵
鵞足炎と診断され、ストレッチやマッサージ、電気治療を続けても改善しない場合、
筋肉ではなく「伏在神経が動いていない」ことが原因 の可能性があります。
その場合に必要なのは、筋肉をほぐすことではなく、
神経が周囲の組織と“スムーズに滑る”状態を取り戻すこと。
ここでは実際の対応として行うべきポイントをまとめます。
① 伏在神経モビライゼーション(神経の滑りを取り戻す技術)
伏在神経は鵞足部・MCL(内側側副靭帯)・脂肪体の浅層を通るため、
膝内側の皮下組織が固まると“癒着”が起きやすい構造です。
PRO-motionでは、
-
神経が皮膚・筋膜と引っ張り合わないようにする
-
鵞足部周囲の滑走を改善する
-
膝伸展での“ピリッ”という痛みを消していく
といった目的で、神経の通り道そのものを整える アプローチを行います。
筋肉への施術では改善しなかった痛みが 早期に変化しやすい のが特徴。
② 股関節・膝のアライメント改善(knee-inの解消)
伏在神経の滑走不全は 力学的なクセ が背景にあることが多いです。
特に、
-
knee-in(膝が内に入る)
-
O脚
-
内側荷重のクセ
これらが続くと、膝内側が常に押しつぶされ、神経が滑らなくなる“条件”が揃ってしまいます。
-
股関節外旋の過剰な代償を抑える
-
内側ではなく「足全体」で支える荷重へ修正
-
膝が内側に入らない立ち方・しゃがみ方を再学習
伏在神経をいくら動かしても、アライメントが変わらなければ再発する ので、ここが重要。
PRO-motionのコンディショニング|再発させない“使い方”の再構築
PRO-motionでは、
痛みを取るだけでなく 「なぜ痛みが起こったのか」 の根本に介入します。
伏在神経滑走不全を改善した後は、
-
歩行・立ち上がりの動作チェック
-
股関節・体幹の連動を整えるトレーニング
-
内側に負担がかかりづらい動き方の習得
-
再発しやすい姿勢の癖を修正
などを行い、
“整える × 鍛える” をセットで完結させる のが特徴です。
結果として、 “痛みの再発防止” に直結します。

症例紹介|長年の“膝内側痛”が改善したケース
数年来の膝内側痛に悩む60代の女性が来院されました。
整体やマッサージで「鵞足炎?」と言われ続けてきたものの、膝を伸ばす瞬間やアキレス腱を伸ばす姿勢になると、
必ず “ピリッ”と鋭い痛みが走る のが治らないまま残っていたそうです。
丁寧に評価すると、鵞足部そのものに炎症はなく、痛みの出るラインが 伏在神経の走行に一致。
膝内側の浅い層で神経が周囲の組織と滑らず、伸ばす動きで引っ張られて痛みが出ている状態でした。
そこで、伏在神経がスムーズに動くように膝内側〜鵞足部のモビライゼーションを行い、
合わせて膝の体重のかけ方の癖を見直すコンディショニングトレーニングを実施。
すると初回から、膝を伸ばした時の鋭い痛みが大きく軽減し、数回のセッションで日常動作の痛みはほとんど消失しました。
このケースは、
「鵞足炎だと思っていた膝内側痛が、実は神経の滑走不全だった」
という典型例でした。
まとめ|“治らない膝内側痛”は、神経が原因のことがある
膝の内側が痛むと鵞足炎を疑いがちですが、
筋肉や滑液包ではなく、伏在神経が滑らず痛みを出しているケース は少なくありません。
特に、
-
膝を伸ばすとピリッと痛む
-
ストレッチで悪化する
-
マッサージでは改善しない
こういった症状は、神経の滑走不全のサイン です。
神経が本来の動きを取り戻すと、
長年続いていた痛みが大きく変化することも珍しくありません。
PRO-motion では、
原因を正確に見極めたうえで、
伏在神経のモビライゼーションと、
再発を防ぐためのコンディショニングを組み合わせ、
“根本から改善する膝づくり” をサポートしています。
膝の内側痛がなかなか治らない方は、
「神経が動いていない」という視点を、ぜひ一度持ってみてください。
執筆
片浦 聡司
PRO-motion代表取締役 / 理学療法士 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT) / (公財)日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ(水泳競技(2015~2016))
名古屋大学医学部卒。急性期病院で整形外科領域を中心に臨床経験を積み、姿勢・動作の分析から痛みや不調の原因を見立て、再発予防につながるコンディショニング指導を得意とする。
2015年より2年間、JOC医科学強化スタッフとして国際大会(ユニバーシアード等)にも帯同。
高齢者からトップアスリートまで幅広くサポートしている。
Trial Program
コンディショニングが
気になる方の「はじめの一歩」
体験プログラム
自分の身体の
クセがわかる!家でできる
トレーニングも
伝授します所要時間
60〜90分
一人ひとりに合わせて行いますので、運動が苦手な方も
もちろん大歓迎。無理な営業は一切しませんので、安心してご参加ください。








