2025.12.11

股関節の痛み

右の鼠径部が痛い原因は?股関節の病気と対処法を専門家が解説

「右の足のつけ根がズキッと痛む…」
「立ち上がる時だけ右側がつまる感じがする」
「左じゃなくて“右だけ”痛いのって大丈夫?」

こんな違和感が続いていませんか?

鼠径部(そけいぶ)は股関節に近く、多くの筋肉・腱・神経・骨盤内臓が集まる場所のため、 右側だけに痛みが出るケース も珍しくありません。

スポーツ選手にも多い「グローインペイン(鼠径部痛症候群)」のように、片側の筋肉や腱に負担が偏って右側だけ痛むこともあります。

そして右側は左側と比べると、 “痛みが出やすい理由”が少し異なる のが特徴です。

  • 右の鼠径部痛に多い原因

  • 左側との違い

  • 自分でできる対処法と生活の工夫

を、専門内容もわかりやすく解説します。

目次

右の鼠径部痛と股関節の関係

鼠径部は股関節のすぐ前を走る領域で、歩行・立ち上がり・方向転換など、あらゆる動作で負担がかかりやすい場所です。

股関節は骨盤の左右差や姿勢の影響を受けやすい関節でもあるため、

  • 体重のかけ方

  • 日常の姿勢

  • スポーツ動作

  • 骨盤のねじれ

  • 筋力の左右差

などが積み重なると、片側(右側)だけ痛むことはよくあります。

右の鼠径部に痛みが出やすい理由(左との違い)

右側だけ痛む人には、左側とは違う“ある共通点”があります。

①「右脚をよく使う人」は右に痛みが出やすい

右利きの場合、

  • 右脚 → 蹴る・踏み込むなどの“動作側”

  • 左脚 → 軸脚(支える側)

になることが多い。

右脚は動きの中心であるため、

  • 右腸腰筋

  • 右内転筋

  • 右股関節前面

などの組織に負担が集中しやすくなります。

② 右足に体重をかけるクセがある人は右鼠径部が痛みやすい

立つときに右足に寄りやすい、カバンを右手で持つ、椅子で右側に寄りかかる、片脚立ちは右が安定する

これが続くと骨盤が、

  • 右:前傾しやすい

  • 左:後傾しやすい

という 左右差のあるゆがみ が生じる。

右骨盤が前に倒れた状態では、

  • 右股関節が詰まりやすい

  • 深く曲がりにくくなる

  • 立ち上がりで“右だけ”痛む

などの症状が起こりやすくなります。

ゴルフ・野球・テニスでは「右側」の負担も強い

スポーツ動作では、右脚が踏み込み、回旋の始点、蹴り出し、方向転換

の役割を果たすシーンが多く、繰り返し右鼠径部に負担が集中しやすい。

特に、

  • 右に体重移動する癖が強い

  • 右方向への切り返しが多い

という人は、右側だけ痛む傾向が顕著です。

右の鼠径部痛によくみられる主な原因

右の鼠径部に痛みが生じる背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。ここでは、臨床で特に多い原因をわかりやすく解説します。

① 股関節まわりの筋肉・腱のトラブル

日常動作や姿勢のクセによって 右側に体重を乗せやすい人 は、その分だけ右側の筋肉や腱に負担が集中しやすくなります。

とくに影響を受けやすいのが、

  • 右内転筋

  • 右腸腰筋

  • 股関節前面の滑液包(炎症が起こりやすいクッション構造)

などです。

これらに過剰なストレスがかかると、

  • 動き始めに「右側だけズキッ」と痛む

  • 歩き始めの1歩目で右がつまる

  • 長く歩くと右の付け根だけ重だるい

といった“動作の初めに強く出る痛み”が生じやすくなります。

② 股関節の疾患(FAI・臼蓋形成不全・関節唇損傷)

股関節の骨や軟骨のトラブルは、左右どちらか片側だけに見られることも多く、右側だけ痛みが続く場合にもよく見られます。

たとえば、

  • 右の臼蓋(受け皿)が浅い「臼蓋形成不全」

  • 右の骨形状が“ぶつかりやすい”FAI(インピンジメント)

  • 右関節唇へのストレスが蓄積して損傷が起きている

などが代表的です。

これらでは、

  • 階段の昇り降りで右だけ痛い

  • 深くしゃがむと右の付け根が詰まる

  • 立ち上がる時に右側が引っかかるように痛む

といった症状が特徴的で、左側に比べると 「引っかかるような痛み」 を訴える人が多い傾向があります。

③ 神経のトラブル(腰椎〜骨盤のゆがみ由来)

骨盤の傾きや姿勢の偏りによって右側の神経が刺激されると、鼠径部痛として現れることがあります。

特に関係しやすいのは、

  • 右大腿神経

  • 右閉鎖神経

  • 右腸骨下腹神経

といった、股関節前〜内側を走る神経です。

神経が関わる場合は、

  • 右鼠径部にピリッと鋭い痛みが走る

  • 右太ももの前〜内側にしびれが広がる

など、“電気が走るような痛み”が特徴です。

④ 婦人科・骨盤内臓の疾患(女性の場合)

女性では、股関節の構造とは関係なく、骨盤内臓のトラブルが右側だけの痛みとして出ることもあります。

具体的には、

  • 右卵巣の腫れ

  • 子宮内膜症

  • 骨盤内うっ血症候群

などが代表例で、生理周期やホルモンバランスとともに痛みが変動する場合もあります。

「股関節の痛みだと思っていたら婦人科系だった」というケースも珍しくありません。

⑤ ヘルニア・腫瘍など(必ず除外したいケース)

頻度は多くありませんが、右鼠径ヘルニアは「右だけ痛む」ケースの典型です。また、腫瘍や感染などでも右側のみ痛みが出ることがあります。

以下に当てはまる場合は、早めの受診が必要です。

  • 右足の付け根がふくらんでいる

  • 力を入れると膨らみが大きくなる

  • 押すと強く痛みが走る

これらは整形外科・外科での診察が必要なサインです。

早期に受診すべきケース(右鼠径部痛の“危険サイン”)

右の鼠径部痛の多くは、姿勢や使い方のクセ・筋肉の問題で起こりますが、中には 早めに医療機関でのチェックが必ず必要なケース もあります。自己判断で様子を見続けると重症化することもあるため、以下の症状がある場合は注意が必要です。

① 右側に“しこり”やふくらみがある

右足のつけ根(鼠径部)が、

  • ポコッと膨らむ

  • 触れると明らかな塊を感じる

  • 押すと強い痛みがある

  • 咳・いきむなどで膨らみが大きくなる

といった場合は、右鼠径(腹股溝)ヘルニアやリンパ節の炎症が疑われます。

特にヘルニアは自然には治らないため、早期に外科・整形外科での診察が必要です。

② 動かなくても痛む(安静時痛・夜間痛)

通常、筋肉や関節由来の痛みは「動いたときに強く出る」のが特徴です。

しかし、

  • じっとしていても右がズキズキ痛む

  • 夜中に痛みで目が覚める

  • 安静にしても改善しない

といった 安静時痛・夜間痛 がある場合は、強い炎症や関節内部のトラブル、まれに腫瘍・感染症などの可能性があるため、早めの受診が必要になります。

③ 発熱や体調不良、下腹部の違和感を伴う

もし右の鼠径部痛とともに、

  • 微熱〜発熱

  • 強い倦怠感

  • 下腹部の不快感・違和感

がある場合、骨盤内臓器の炎症や感染症が原因で痛みが出ていることがあります。

特に女性の場合、婦人科系疾患が背景にあるケースも。

④ しびれが広がる(神経症状)

神経の関与が疑われるサインとして、

  • 右鼠径部に“ピリッ”と鋭い痛み

  • 右太ももの前〜内側にしびれが広がる

  • ベルトで締めつけられるような感覚

などがあります。

右大腿神経や右閉鎖神経などが影響している可能性があり、症状が進行すると、力が入りにくくなることもあるため注意が必要です。

⑤ 数週間続いても改善しない

  • 湿布をしても変わらない

  • 姿勢や動きを変えても良くならない

  • 右側だけ同じ痛みが続いている

という場合、筋肉トラブルだけでなく、関節・神経・骨の問題が隠れているケースがあります。

1〜2週間で改善傾向がない場合は、医療機関での画像検査(X線・MRI)が推奨されます。

どこを受診すればいい?(症状別の受診先)

症状によって最適な科が異なります。

  • 動作で痛い・しびれる → 整形外科

  • ふくらみ・ヘルニア疑い → 外科 or 整形外科

  • 周期と連動する痛み・下腹部の不調 → 婦人科(女性)

  • 原因不明で長引く痛み → 整形外科で画像検査

ひとつでも当てはまるものがあれば「念のため一度診てもらう」が正解 です。

PRO-motionで行う評価とコンディショニング

右の鼠径部痛を根本から改善するためには、痛い場所だけを見るのではなく、姿勢・骨盤・股関節の動き方・左右差を総合的に確認することが欠かせません。PRO-motionでは、以下の流れで原因を特定し、再発しにくい身体へ導きます。

① 姿勢・骨盤アライメントの評価(左右差のチェック)

まずは立ち姿勢や骨盤の傾きを確認し、

  • 右骨盤が前傾していないか

  • 右股関節が詰まりやすい位置になっていないか

  • 体重が右側に偏っていないか

など、痛みを作る左右差を明確にします。

② 動作分析(歩行・立ち上がり・スクワット)

次に、実際の動きをチェックして、

  • 右脚で蹴りすぎていないか

  • 右脚に体重を乗せすぎていないか

  • 立ち上がり・歩き始めで右だけ詰まっていないか

など、無意識のクセを可視化します。
鼠径部痛は“動き方”が原因になっていることが非常に多いのが特徴です。

③ 股関節まわりの柔軟性・筋力チェック

特に重要なのが股関節周囲の筋肉バランス。

  • 右腸腰筋の硬さ

  • 右内転筋の張り

  • 右中殿筋の弱さ

  • 仙腸関節の可動性

などを確認し、どこに負担が集中しているのかを特定します。

④ 一人ひとりに合わせた “整える × 鍛える” コンディショニング

評価結果をもとに、必要なアプローチを組み合わせます。

整える(痛みの原因を取り除く)

  • 右股関節前面の詰まりを改善

  • 筋膜リリースや関節モビライゼーション

  • 骨盤の傾きを整えて動きをスムーズにする

鍛える(再発しない身体づくり)

  • 右に偏らない体重のかけ方を再学習

  • 中殿筋・腸腰筋など股関節安定筋の強化

  • スポーツや日常動作のクセを改善

PRO-motionでは、“なぜ右だけ痛くなったのか”を可視化し、根本から整え、再発しにくい身体をつくる ことを大切にしています。

まとめ|右の足のつけ根に「なんかおかしい」と感じたら

右の鼠径部に痛みやつまる感じが続くと、「そのうち良くなるかな」と思いがちですが、多くの場合、日常のちょっとしたクセや姿勢の偏り、右脚ばかりに頼る体の使い方が積み重なって生じています。

特に右側は“動作側”として使われることが多く、歩き始めの一歩や立ち上がる瞬間、スポーツのフォームなどで知らず知らず負担が集中しやすいのが特徴です。

痛みを放置すると、右股関節だけでなく腰や骨盤、さらには左脚にまで負担が広がり、動作そのものがぎこちなくなってしまうこともあります。

だからこそ、今感じている違和感は、身体が「使い方を見直すタイミングですよ」と教えてくれているサインでもあります。

PRO-motionでは、姿勢や骨盤の傾き、右脚への体重の乗り方、歩き方や立ち上がり動作、股関節まわりの筋肉バランスなどを丁寧に評価し、なぜ右だけに負担がかかったのかを一緒に整理していきます。

そのうえで、必要な部分を整え、偏りをなくすために鍛える。こうした“整える × 鍛える”を組み合わせたアプローチで、再発しにくい身体づくりをサポートします。

もし、

「右の付け根がいつも気になる」
「歩き始めだけズキッとする」
「スポーツのたびに右だけ痛む」

そんな小さなサインが積み重なってきたら、ぜひ一度ご相談ください。
身体のクセを理解して改善していくことで、痛みを気にせず動ける毎日へと戻ることができます。

執筆

片浦 聡司

PRO-motion代表取締役 / 理学療法士 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT) / (公財)日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ(水泳競技(2015~2016))

名古屋大学医学部卒。急性期病院で整形外科領域を中心に臨床経験を積み、姿勢・動作の分析から痛みや不調の原因を見立て、再発予防につながるコンディショニング指導を得意とする。
2015年より2年間、JOC医科学強化スタッフとして国際大会(ユニバーシアード等)にも帯同。
高齢者からトップアスリートまで幅広くサポートしている。

体験プログラムのトレーニング風景 体験プログラムのトレーニング風景 体験プログラムのトレーニング風景

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