2026.01.23

腰痛

「腰痛」なぜ起こる?どうすれば繰り返さない?|理学療法士が本気で伝えたい「腰痛」について

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「腰が痛い」

この言葉は、理学療法士として現場に立っていると、本当に毎日のように耳にします。

年齢も、性別も、職業も関係ありません。

  • デスクワーク中心の会社員

  • 家事や育児に追われる方

  • スポーツを頑張っている学生や社会人

  • 定年後、趣味を楽しみたい世代

腰痛は、誰にでも起こり得る不調です。

厚生労働省が行っている国民生活基礎調査でも、
腰痛は常に「有訴率」の上位に位置しています。

さらに研究では、
一生のうち約84%の人が腰痛を経験する
とも言われています。

これだけ多いにもかかわらず、
腰痛ほど「正しく理解されていない症状」も、実は少ないのです。

腰痛の85%は「画像に映らない」

「検査では異常なし」でも、腰は痛い

腰痛で病院を受診すると、

  • レントゲン

  • MRI

  • CT

といった画像検査を受けることが多いと思います。

そこでよく聞く言葉が、

「骨には異常ありませんね」
「画像上は問題ないです」

それでも、腰は確かに痛い

このギャップに、不安や不信感を抱いた経験がある方も
少なくないのではないでしょうか。

腰痛の85%は「原因が特定できない」

腰痛は、大きく分けると2種類あります。

原因が特定できる腰痛(約15%)

  • 椎間板ヘルニア

  • 腰部脊柱管狭窄症

  • 圧迫骨折

  • 感染症や腫瘍

  • 内臓疾患由来の痛み

これらは、画像検査や血液検査などで
比較的はっきりと確認できます

原因が特定できない腰痛(約85%)

残りの大多数が、「非特異的腰痛」と呼ばれるものです。

  • 画像では異常がない

  • 明確な診断名がつかない

  • でも、確かに痛い

実は、ほとんどの腰痛はこちらに分類されます

つまり、腰痛の多くは「壊れているから痛い」のではなく、
“使われ方の問題”で起きているということなのです。

なぜ腰は、こんなにも痛くなりやすいのか?

では、なぜ腰はこれほど痛みやすいのでしょうか。

理由は、身体の構造にあります。

胸郭(肋骨のある部分)は、
たくさんの骨に囲まれていて、とても安定しています。

骨盤や股関節も、
大きくて強い骨同士が組み合わさった、安定した構造です。

一方で腰部はどうでしょうか。

お腹まわりを輪切りにすると、
中央に背骨(腰椎)が1本あるだけ

つまり腰は、
骨格的に非常に不安定な場所なのです。

人類は「腰痛を起こしやすい進化」をしてしまった

もう少し視点を広げてみましょう。

人類はもともと四足歩行でした。
その頃の背骨は、
上半身と下半身をつなぐ「梁(はり)」のような役割。

しかし、二足歩行を始めたことで、

  • 体重が腰に集中

  • 背骨にかかる負担が増大

  • 安定性より可動性が優先された

結果として、腰は“酷使されやすい場所”になったのです。

動物の中で二足歩行をするのは、
人間と、たまに立つレッサーパンダくらい。

腰痛は、
ある意味「人類が直立を選んだ代償」とも言えます。

非特異的腰痛は2タイプに分けられる

原因が特定できない腰痛でも、
実は特徴によって分類することができます。

① 腰を曲げると痛い「屈曲型腰痛」

前屈動作で痛みが出るタイプです。

  • 靴下を履くと痛い

  • 前かがみで作業するとつらい

  • 長時間座っていると腰が張る

このタイプの多くは、
腰の筋肉そのものが原因ではありません

本当の問題は、股関節や太ももの裏が硬いこと

本来、前屈動作は股関節が主役で動くべき動作です。

そこが動かないと、
腰が代わりに曲がり続けることになり、
結果として腰に負担が集中します。

② 腰を反ると痛い「伸展型腰痛」

反らす動作で痛みが出るタイプです。

  • 立ちっぱなしがつらい

  • 反ると腰が詰まる感じがする

  • 朝や夕方に違和感が出やすい

このタイプでは、
体幹で身体を支えられていない
ことが大きな要因になります。

特に重要なのが、腹横筋(コルセット筋)と呼ばれるお腹の深層筋です。

この筋肉が働くことで、
腰椎は内側から安定します。

「腹筋」だけでは、腰は守れない

腰痛予防というと、

  • 腹筋を鍛えましょう

  • プランクをやりましょう

と言われることが多いですが、
実はやり方次第では逆効果になることもあります。

一般的な腹筋運動で使われるのは腹直筋(表面の筋肉)。

一方、腰を守るのは腹横筋のようなインナーマッスル

日常生活で重要なのは、「動きながら安定する力」です。

腰痛改善の本質は「評価 → 整える → 使い直す」

腰痛がなかなか改善しない理由の多くは、

  • とりあえずストレッチ

  • とりあえず筋トレ

  • とりあえずマッサージ

と、順番を間違えていることにあります。

本来は、

  1. どの動きで腰に負担が集中しているのか評価する

  2. 股関節や体幹など、必要な場所を整える

  3. 正しい動きを身体に再学習させる

この流れが必要です。

日常生活こそが、腰痛を作り続けている

腰痛は、
「特別な動作」で起こることはほとんどありません。

  • スマホを見る姿勢

  • 足を組む座り方

  • 中腰での作業

  • 腰だけで荷物を持つ動き

こうした毎日の小さな積み重ねが、
腰に負担をかけ続けます。

対症療法だけでは、腰痛は終わらない

マッサージや湿布は、
痛みを一時的に和らげてくれます。

しかし、

  • なぜ腰に負担が集中したのか

  • なぜ同じ動きを繰り返してしまうのか

ここを変えない限り、
腰痛は形を変えて戻ってきます。

まとめ|腰痛は「腰の問題」ではない

  • 腰痛の多くは画像に映らない

  • 腰は構造的に不安定

  • 原因は股関節・体幹・動きのクセ

  • 正しく評価し、使い方を変えることが重要

腰痛は、
正しく理解すれば、コントロールできる不調です。

あなたの腰痛改善に、
少しでも役立てば幸いです。

執筆

片浦 聡司

PRO-motion代表取締役 / 理学療法士 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT) / (公財)日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ(水泳競技(2015~2016))

名古屋大学医学部卒。急性期病院で整形外科領域を中心に臨床経験を積み、姿勢・動作の分析から痛みや不調の原因を見立て、再発予防につながるコンディショニング指導を得意とする。
2015年より2年間、JOC医科学強化スタッフとして国際大会(ユニバーシアード等)にも帯同。
高齢者からトップアスリートまで幅広くサポートしている。

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