2025.12.31
マラソン
30kmの壁を克服するための魔法のトレーニング|マラソン後半で失速しない身体の使い方
ランナーの間ではよく
「30kmの壁」 という言葉が使われます。
フルマラソンや30km走で、
- 25kmまでは順調だったのに、30km付近で一気に失速
- 心肺はまだ余裕があるのに、脚が前に出ない
- フォームが崩れ、ただ耐えるだけの走りになる
このような経験をしたことがある方は多いはずです。
大会1か月前になると、
「今回は越えられるだろうか」
「また同じ失速を繰り返すのではないか」
そんな不安を抱えながらこの記事に辿り着いた方も多いはずです。
まずはっきりさせておきたいことがあります。
この時期に、体力や筋力を大きく伸ばすことはできません。
しかし――
30km以降で失速しにくい「身体の使い方」に整えることは可能です。
目次
30kmの壁が起こる理由|体力不足だけでは説明できない
マラソンは「衝撃を受け止め続ける競技」
マラソン後半で起きているのは、
単なるスタミナ切れではありません。
ランニングでは、着地のたびに
体重の約2〜3倍の衝撃 が身体にかかります。
フルマラソンではこの衝撃を、
数万回にわたって片脚で受け止め続けることになります。
前半は問題なく走れていても、30km付近になると、
- 着地の衝撃が強く感じる
- 脚の張りが急激に増す
- 骨盤が安定せず、腰が落ちてくる
といった変化が起こります。
これは、
衝撃を処理する機能が限界に近づいているサインです。

本来、衝撃を吸収する中心は「臀部」
ランニングの着地衝撃は本来、
- 股関節
- 臀部(大殿筋・中殿筋周辺)
- 体幹
といった、身体の中心に近い部分で吸収・分散されます。
しかし30kmの壁に悩むランナーでは、
- 臀部が衝撃を受け止めきれず
- 太ももやふくらはぎなど、脚の末端で衝撃を処理している
ケースが非常に多く見られます。
その結果、
- 筋肉が先に疲労する
- フォームが崩れる
- ペースを維持できなくなる
という流れで、
30km付近から一気に失速してしまうのです。
※股関節で衝撃を吸収する仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

鍛えているのに30kmの壁を克服できない理由
「お尻の筋トレはやっている」
「スクワットやヒップスラストも行っている」
それでも30kmの壁を越えられない場合、
問題は 筋力の量 ではありません。
重要なのは、
臀部が“力を出す前に”、衝撃を受け止められているかどうか
という 使い方 の問題です。
臀部が衝撃を吸収できない状態では、
どれだけ筋力があっても、
マラソン後半に脚が先に限界を迎えてしまいます。

ただし、30kmの壁の原因は「臀部で衝撃を吸収できていないこと」だけとは限りません。
マラソン後半になると、脚の問題が表に出る前に、
姿勢が崩れて猫背になり、呼吸が浅くなることで心肺が先に限界を迎えるタイプの30kmの壁 も多く見られます。
実際、
-
脚はまだ動く感覚があるのに息が苦しくなる
-
心拍数が急に跳ね上がり、ペースを落とさざるを得ない
こうしたケースでは、筋力や走り込みよりも
「呼吸できる姿勢を保てているかどうか」 が大きく影響しています。
30kmの壁対策|失速を防ぐための改善トレーニング
30kmの壁対策で大切なのは、
着地時の衝撃を臀部でコントロールできる状態を作ることです。
トレーニング① ヒップヒンジ|30kmの壁対策の基礎
トレーニング① ヒップヒンジ|30kmの壁対策の基礎
目的
- 股関節を使って体重を支える感覚を身につける
- 臀部で衝撃を吸収する準備を作る
やり方
- 足を前後に開き、頭とお尻を一直線にキープ
- 前足の膝を軽く曲げ、後ろ足のかかとを上げる
- お尻を少し後ろに引くイメージで、おじぎ
回数
10回 × 2セット
ポイント
- お尻〜もも裏に効いている感覚があればOK
- お尻・膝・つま先を一直線に保つ
- 腰が落ちて膝が深く曲がらないよう注意
これは、
マラソン後半で腰が落ちるのを防ぐ土台になります。
トレーニング② 片脚ヒップヒンジ|マラソン後半を想定した練習
トレーニング② 片脚ヒップヒンジ|マラソン後半を想定した練習
目的
- 片脚で臀部が衝撃を吸収できるようにする
やり方
- トレーニング①と同様におじぎ
- 同時に後ろ脚を持ち上げる
- 頭〜足までが一直線になるよう意識
回数
10回 × 2セット
ポイント
- 骨盤が横に流れたり、斜めにならなように注意
- 腰が落ちて膝が大きく曲がらない
ランニングは 片脚動作の連続 です。
この能力が、30km以降でもフォームを保つ力につながります。
トレーニング③ 不安定下でのヒップヒンジ|30km以降でも崩れないために
トレーニング③ 不安定下でのヒップヒンジ|30km以降でも崩れないために
目的
- 不安定な状況でも、臀部で衝撃を吸収できるようにする
やり方
① トレーニング②をバランスディスクの上で行う
10回 × 2セット
回数
10回 × 2セット
大会1か月前でもできる30kmの壁対策|PRO-motionのサポート
“ただのトレーニング”じゃ届かない
1か月で記録を狙うなら、“動き”を整えろ
── ランナー専用パーソナルジム PRO-motion(名古屋)
【見つける】
30kmの壁で失速する原因は人それぞれです。
- 関節のズレ
- 身体のクセ
- 疲労時に崩れるフォーム
これらを
医療国家資格 × プロアスリート指導資格 の視点で分析します。

【整える】
- 関節を安定した位置関係に保ち
- 身体・筋肉のバランスを整え
- 後半でも崩れにくい状態を作る
フォーム以前の「土台」 を整えます。

【鍛える】
1か月で筋力は増えません。
だからこそ、
- 脳から身体の使い方を覚える
- 神経レベルで動きを整える
- 疲労時でも再現できる動作を作る

ことで、
30km以降でも失速しにくい走りを目指します。
まとめ|30kmの壁は体力ではなく「衝撃吸収の問題」
30kmの壁は、
- 根性不足でも
- 練習量不足でもありません
多くの場合、
臀部で衝撃を吸収できず、脚だけで走ってしまっていることが原因です。
- 30km付近からペースが落ちる
- マラソン後半で脚が動かなくなる
という悩みがある場合は、
- どこで衝撃を受け止めているのか
- 後半でも臀部が機能しているか
この視点で、自分の走りを見直してみてください。
30kmの壁は、
「もっと頑張る」ことで越える壁ではなく、
「衝撃を正しく処理できる身体」を作ることで越えられる壁です。
執筆
牧野 将大
チーフコンディショニングトレーナー / 柔道整復師 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
ビーチバレー選手、Jr日本代表新体操選手、Fリーガー、野球選手など、競技レベルを問わずアスリートへの施術・トレーニング指導を行う。
ACミランアカデミー愛知にてサッカー指導にも携わる。
痛みの原因を動作から見極め、再発防止とパフォーマンス向上を両立させるコンディショニングを得意とする。
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