2026.01.07
疲れ・だるさ
【理学療法士が解説】疲れない体をつくるトレーニング|回復力が上がる“負荷のかけ方”とトレーニング設計
「運動したら、むしろ疲れそう…」
そう思っているのに、なぜか “適切なトレーニング”を始めた人ほど疲れにくくなる——この現象、実はよくあります。
ポイントは、疲れない体づくりの目的が
「筋肉を増やすこと」や「限界まで追い込むこと」ではなく、
疲れても回復できる体=回復力を上げることにあるからです。
疲れが抜けない人ほど、やりがちなのが
-
きつい運動で気合いを入れる(でも翌日さらに重い)
-
休むだけで何とかしようとする(でもスッキリしない)
の両極端。
大切なのは、強度の高さではなく、
「どれくらいの負荷を、どんな順番で、どの頻度で入れるか」という“設計”です。
ここを押さえると、筋肉痛を量産しなくても、体はちゃんと変わっていきます。
この記事では理学療法士の視点から、
回復力を上げるための 負荷のかけ方(強度・量・頻度)と、
初心者でも続けやすい トレーニング設計をわかりやすく解説します。
「何をどれくらいやればいいか」がクリアになるはずです。
目次
結論:疲れない体をつくるトレーニングは「強度」より“設計”
「疲れない体をつくりたいなら、トレーニングは軽いほうがいいんですか?」
現場でよく聞かれる質問です。
答えは、
軽すぎてもダメ、重すぎてもダメ。
大切なのは「強度」そのものではなく、どう設計されているかです。
“頑張るトレーニング”ほど疲れが抜けない理由
疲れにくくなりたいのに、
・毎回限界まで追い込む
・常に筋肉痛を目指す
・息が上がる強度でやり切る
こうしたトレーニングを続けている人ほど、
「なんとなく体が重い」「回復が遅い」と感じやすくなります。
これは、トレーニング自体が悪いのではなく、
回復する前に次の負荷を重ねてしまっているためです。
疲れない体づくりの目的は「筋肉を増やす」ことではない
疲れない体を目指すトレーニングのゴールは、
見た目を変えることでも、記録を伸ばすことでもありません。
目的は、
-
血流が巡りやすくなる
-
体を無駄なく使えるようになる
-
神経が回復モードに切り替わる
こうした回復しやすい状態をつくることです。
この目的に対して、
「重さ」や「回数」だけでトレーニングを考えると、
ズレが生まれます。
“ちょうどいい負荷”が回復力を底上げする
疲れない体づくりに適した負荷の目安は、
-
フォームが崩れない
-
呼吸が止まらない
-
翌日に重だるさが残らない
この3つを満たすレベルです。
「やった感」は少なくても、
翌日、体が軽い・動きやすいなら、
その負荷設定は正解です。
トレーニングは「足し算」ではなく「積み上げ」
疲れない体は、
一度のハードなトレーニングで作るものではありません。
-
無理のない負荷
-
続けられる頻度
-
回復できる余白
これを積み上げた結果として、
「いつの間にか疲れにくくなっている」状態が生まれます。
疲れない体をつくるトレーニング3原則
疲れない体をつくるためのトレーニングには、
筋トレ・有酸素・ストレッチ以前に、守るべき原則があります。
この3つを押さえているかどうかで、
同じ運動でも「回復力が上がる人」と「疲れが溜まる人」に分かれます。
原則① 大きい筋肉を“軽〜中強度”で動かす(血流を回す)
疲れない体づくりの土台は、血流です。
血流が良くなることで、
-
酸素・栄養が届く
-
疲労物質が排出される
-
回復ホルモンが働きやすくなる
この流れが生まれます。
そのために狙うべきなのは、
脚・お尻・背中といった大きな筋肉。
ポイントは、
-
重すぎない
-
追い込まない
-
息が止まらない
「きついけど、動き続けられる」くらいの負荷が、
疲れない体づくりには最適です。
小さな筋肉を細かく鍛えるより、
まずは“大きく動かす”ことを優先します。
原則② フォーム=省エネ動作を覚える(疲れを溜めない)
疲れやすい人ほど、
体の一部だけで頑張る動きをしています。
-
膝だけで立ち上がる
-
腰を反らして耐える
-
肩をすくめて引く
こうした動きは、
一時的にはできても、確実に疲労を溜めます。
疲れない体をつくるトレーニングでは、
「どこの筋肉を鍛えるか」より
どう使っているかが重要です。
-
体幹で支えられているか
-
関節に無理が集中していないか
-
呼吸しながら動けているか
この“省エネなフォーム”が身につくと、
同じ運動量でも驚くほど疲れにくくなります。
原則③ 神経が切り替わる強度にとどめる(回復モードを作る)
疲れない体づくりで見落とされがちなのが、
自律神経の切り替えです。
毎回のトレーニングが
-
息切れMAX
-
心拍が上がりっぱなし
-
気合いでやり切る
という状態だと、
交感神経が優位になり続け、
回復モードに入りにくくなります。
疲れない体をつくるトレーニングでは、
-
終わったあとに呼吸が整う
-
少しスッキリ感がある
-
翌日に重さが残らない
この状態を目指します。
「やり切った感」より「翌日の軽さ」を基準にするのが正解です。
まずはここから:疲れやすい人のためのトレーニング設計
疲れない体づくりで大切なのは、
いきなり完璧を目指さないことです。
「種目をたくさん」「時間を長く」「頻度を増やす」
これらはすべて後回しでOK。
まずは、
回復力が上がる最低限の設計を作ることから始めましょう。
頻度は「週2」で十分。むしろ最適
疲れやすい人が最初にやりがちな失敗が、
「やる気があるうちに詰め込みすぎる」こと。
回復力を上げたい段階では、
週2回が最もバランスが取れます。
-
1回目:刺激を入れる
-
2回目:使い方を定着させる
-
間の日:回復が進む
このリズムが回り始めると、
「気づいたら疲れにくい」が起こります。
時間は20〜30分でOK
長時間のトレーニングは必要ありません。
むしろ、
疲れない体づくりにおいては
短時間で終われること=続けられることが重要です。
目安は以下の通りです。
-
メイン種目:2〜3種目
-
各種目:8〜12回 × 1〜2セット
-
有酸素(必要なら):5〜10分
「もう1セットできそう」くらいで終えるのが、
回復力を高めるコツです。
種目選びは「全身をざっくり使う」が正解
疲れやすい人の初期段階では、
細かい部位分けは必要ありません。
優先順位はこの順です。
-
下半身(脚・お尻)
-
背中
-
体幹(支える)
この3つを押さえるだけで、
血流・姿勢・動きの効率が一気に改善します。
強度の目安は「呼吸で判断する」
重量や回数よりも、
呼吸が乱れすぎていないかを基準にしましょう。
-
動作中も会話できる
-
息を止めずに動ける
-
終了後1〜2分で呼吸が落ち着く
このくらいの強度が、
神経を興奮させすぎず、回復力を高めます。
「疲れた日はやらない」ではなく「軽くやる」
疲れやすい人ほど、
疲れた日は完全に何もしない選択をしがちです。
しかし、
-
体を少し動かす
-
血流を回す
-
呼吸を整える
この程度の刺激は、
むしろ回復を助けることが多いです。
「今日は軽めでいい」と決めておくことで、
トレーニングが生活の一部になります。
判断基準は「翌日の体」
疲れない体づくりで、
一番信頼できる指標はこれです。
翌日、体は軽いか?
-
軽い → 設計は合っている
-
どんより重い → 強度・量が多い
-
局所が痛い → フォーム・種目が合っていない
このチェックを繰り返すだけで、
自然と“自分に合うトレーニング”に近づいていきます。
逆効果になりやすいトレーニングのNGパターン
「運動しているのに、なぜか疲れが抜けない」
そんな人の多くは、努力が足りないのではなく、やり方がズレているだけです。
疲れない体づくりの視点から見ると、
実は“逆効果”になりやすいパターンがあります。
NG① 毎回、限界まで追い込む
筋トレ=追い込むもの、と思われがちですが、
疲れない体づくりにおいては最優先ではありません。
-
毎回オールアウト
-
常に筋肉痛
-
息が上がりきるまでやる
この状態が続くと、
回復する前に次の負荷が重なり、
回復力そのものが下がっていきます。
「やった感」は強くても、
翌日に重さが残るなら、負荷は強すぎです。
NG② 疲れているのに「気合い」で続ける
「疲れているけど、やらなきゃ」
この気持ちは大切ですが、
やり方を変えずに続けるのは危険です。
-
神経が休まっていない
-
フォームが崩れやすい
-
代償動作が増える
この状態で負荷をかけると、
疲労が抜けないだけでなく、
痛みや不調につながることもあります。
疲れている日は、
量や強度を落とす=サボりではありません。
回復力を守るための、立派な調整です。
NG③ 重さや回数だけで評価する
「前回より重く」「前回より多く」
この考え方が悪いわけではありませんが、
疲れない体づくりでは優先順位が低いです。
重さや回数が増えても、
-
動きが雑になっている
-
呼吸が止まっている
-
特定の部位だけが疲れる
こうなっていれば、
体は省エネに動けていません。
評価すべきなのは、
-
動きやすさ
-
軽さ
-
翌日の状態
数字は、そのあとで十分です。
NG④ 痛みを「成長痛」だと思い込む
疲れない体づくりにおいて、痛みはサインです。
-
関節がズキッとする
-
特定の部位だけが痛む
-
動き始めに違和感が強い
これを「頑張った証拠」と捉えてしまうと、
回復力は下がっていきます。
筋肉の張りや軽い違和感と、
痛みは別物です。
NG⑤ 休む=何もしない、になっている
疲れているからといって、
完全に動かない日が続くと、
-
血流が落ちる
-
体がこわばる
-
回復スイッチが入りにくくなる
ことがあります。
疲れない体づくりでは、
「休む」と「止まる」は別。
-
軽く動かす
-
呼吸を整える
-
姿勢をリセットする
こうした回復を助ける動きは、
むしろ必要です。

まとめ|疲れない体をつくるトレーニングの本質
疲れない体をつくるためのトレーニングは、
「きつい運動を我慢すること」でも
「体力を無理につけること」でもありません。
回復できる状態を、日常の中でつくっていくこと。
それが本質です。
この記事でお伝えしたポイントを整理すると——
-
疲れない体づくりでは「強度」より設計が重要
-
疲労には〈肉体・神経・精神〉のタイプがあり、重なって溜まる
-
回復力を上げるトレーニングには3原則がある
-
大きい筋肉を軽〜中強度で動かす
-
省エネなフォームを覚える
-
神経が切り替わる強度にとどめる
-
-
まずは週2・20〜30分からで十分
-
判断基準は「やった感」ではなく翌日の体の軽さ
もし今、
「頑張っているのに疲れが抜けない」
「運動を続けたいのに、どこかで無理が出る」
と感じているなら——
それはトレーニング不足ではなく、体の使い方や負担の偏りが原因になっていることも少なくありません。
こうした場合、
いきなりトレーニングを増やすよりも、
-
今どこに負担が集中しているのか
-
どこがうまく使えていないのか
-
回復を邪魔している動きのクセは何か
を一度整理することで、
必要な運動量が一気に減ることもあります。
PRO-motionでは、
トレーニングの前段階として
評価 → 整える → 鍛える
というコンディショニングの考え方を大切にしています。
「運動はしているけど、疲れやすさが変わらない」
そんな方こそ、
“鍛える前の整理”が、疲れない体づくりの近道になるかもしれません。
焦らず、攻めすぎず。
まずは「翌日が少しラクになる」状態をつくることから始めてみてください。
執筆
片浦 聡司
PRO-motion代表取締役 / 理学療法士 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT) / (公財)日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ(水泳競技(2015~2016))
名古屋大学医学部卒。急性期病院で整形外科領域を中心に臨床経験を積み、姿勢・動作の分析から痛みや不調の原因を見立て、再発予防につながるコンディショニング指導を得意とする。
2015年より2年間、JOC医科学強化スタッフとして国際大会(ユニバーシアード等)にも帯同。
高齢者からトップアスリートまで幅広くサポートしている。
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