2025.12.26
ひざ関節痛
ケガじゃないのに半月板損傷?40代以降に多い“日常動作型”の膝トラブルとリハビリ
「転んだ覚えもないのに、膝の内側が痛い」
「スポーツはしていないのに、半月板損傷と言われた」
そんな経験はありませんか?
40代以降の膝の痛みでは、はっきりしたケガがない“日常動作型の半月板損傷”が少なくありません。
特に多いのが、膝の内側〜やや後方に出る痛み。
階段の上り下り、立ち上がり、歩き始めなど、日常の何気ない動作で違和感や痛みが出るのが特徴です。
半月板損傷というと「スポーツ外傷」や「手術」が思い浮かぶかもしれません。
しかし実際には、
歩き方・立ち方・体重のかけ方といった“動きのクセ”が積み重なり、
知らないうちに半月板が挟み込まれ続けているケースも多く見られます。
このタイプでは、
-
注射をしても戻る
-
リハビリをしてもスッキリしない
-
「年齢のせい」と言われて不安になる
といった悩みを抱えがちです。
この記事では、
40代以降に多い「ケガじゃない半月板損傷」に焦点を当て、
-
なぜ内側(特に少し後ろ)が痛くなるのか
-
日常動作で何が起きているのか
-
再発させないために必要なリハビリの考え方
を、理学療法士の視点から分かりやすく解説します。
目次
半月板損傷=スポーツ外傷、と思っていませんか?
「半月板損傷」と聞くと、
-
サッカーやバスケの急な方向転換
-
ジャンプの着地
-
若い人のスポーツ外傷
をイメージする方が多いかもしれません。
たしかに、半月板損傷はスポーツ中のケガとして知られています。
しかし実際の現場では、40代以降でスポーツをしていない方にも、半月板由来の膝の痛みは非常に多く見られます。
40代以降に多い「非外傷性(変性型)」の半月板トラブル
40代以降の半月板損傷の多くは、
転倒や衝突といった明確な外傷がありません。
特徴は次のようなものです。
-
いつからか膝が痛くなった
-
きっかけがはっきりしない
-
病院で「半月板が少し傷んでいます」と言われた
-
安静にしてもスッキリしない
このタイプは、加齢そのものが原因というよりも、
日常動作の積み重ねによって起こる“変性型の半月板トラブル”と考えたほうが近いケースが多いです。
特に多いのは「膝の内側〜やや後方」の痛み
非外傷性の半月板トラブルで多い訴えが、
膝の内側、しかも少し後ろ寄りの痛みです。
-
歩き始めにズキッとする
-
階段の下りが怖い
-
しゃがむと内側が引っかかる感じがある
これらは、内側半月板の後方(後角)に負担が集中しているサインであることが少なくありません。
なぜ内側半月板はトラブルが起きやすいのか?
理由はシンプルです。
-
内側半月板は、外側に比べて動きが少ない
-
膝のねじれや体重の偏りの影響を逃がしにくい
そのため、
歩く・立つ・しゃがむといった日常動作の中で、
少しずつ負担が蓄積しやすい構造になっています。
つまり
「一度の大きなケガ」ではなく「毎日の小さな負担の繰り返し」
が、痛みの正体であることが多いのです。
日常動作で起きる“半月板の挟み込み”とは
40代以降の半月板トラブルでは、
強い衝撃がなくても、日常動作の中で半月板が挟み込まれているケースが多く見られます。
その原因としてよく見られるのが、膝の使い方のクセです。
よくある膝の使い方:Knee-in toe-out
-
膝が内側に入る
-
つま先が外を向く
-
本人は「普通に歩いている」つもり
この状態をKnee-in toe-outと呼びます。
Knee-in toe-outで、膝の中では何が起きている?
この歩き方では、
-
膝のねじれが大きくなる
-
体重が内側に偏る
-
内側半月板(特に後ろ側)が繰り返し圧迫される
結果として、
-
膝の内側がズキッと痛む
-
少し後ろが引っかかる
といった症状が出やすくなります。
このタイプの半月板トラブルは、
半月板が弱いのではなく、挟み込まれやすい使い方をしている
これが本当の原因であることが多いのです。
日常動作型・半月板損傷に必要なリハビリの考え方
40代以降に多い「日常動作型」の半月板損傷では、
治療や一般的なリハビリをしても再発を繰り返すケースが少なくありません。
その理由はシンプルで、
「半月板そのもの」ではなく「使い方」が変わっていないからです。
治療の全体像は“スタート地点”にすぎない
半月板損傷の治療は、大きく次の2つに分けられます。
保存療法(手術以外)
-
薬・注射
-
サポーター
-
リハビリ
手術療法
-
縫合術
-
部分切除術
これらは、痛みや炎症を落ち着かせるために必要な治療です。
ただし、どの治療を選んだ場合でも、
本当に重要なのは「治療が終わった後、どう動くか」
ここが抜け落ちると、再発しやすくなります。
なぜ治療やリハビリをしても再発するのか?
日常動作型・半月板損傷でよく見られるのが、次のようなリハビリです。
-
筋トレだけを行っている
-
電気やマッサージが中心
-
歩き方・立ち方の確認がほとんどない
これでは、
半月板に負担をかけている動作そのものが変わりません。
結果として、
-
一時的に良くなる
-
日常生活に戻る
-
また同じ場所が痛くなる
という流れを繰り返してしまいます。
本当の原因は「膝の外」にあることが多い
日常動作型の半月板損傷では、
問題は膝だけにあるとは限りません。
多くの場合、次のような状態が重なっています。
-
股関節で体を支えきれていない
-
足部が不安定で、体重が内側に流れる
-
その結果、膝が代わりに頑張らされている
つまり、
膝は「悪者」ではなく、
無理をさせられている立場なのです。
ポイントは「膝を治す」ではない
日常動作型・半月板損傷のリハビリで大切なのは、
-
股関節で体を支えること
-
足部を安定させること
-
体重を正しく乗せられること
この3つを整え、
膝に負担が集中しない状態をつくることです。
リハビリのゴールはここ
目指すゴールは、
-
膝に負担が集中しない
-
無意識でも安全な動きができる
-
日常生活で再発しない
「意識して気をつける」ではなく、
自然にそう動けている状態が理想です。
日常動作型の半月板損傷では、
リハビリ=筋トレではありません。
リハビリ=動きの再学習です。
PRO-motionの考え方|評価 → 整える → 鍛える
日常動作型・半月板損傷では、
「とりあえず筋トレ」や「痛いところへの対処」だけでは不十分です。
PRO-motionでは、
半月板を守れる身体の使い方を取り戻すことをゴールに、
次の3ステップでコンディショニングを行います。
最初に行うのは、
膝そのものの治療ではありません。
-
歩き方
-
立ち上がり動作
-
片脚での安定性
-
体重の乗り方
こうした日常動作を確認し、
-
Knee-in toe-outになっていないか
-
股関節や足部で支えられているか
-
膝が代わりに頑張らされていないか
を評価します。
「半月板が悪い」ではなく「半月板に負担が集まる理由」を明確にする
ここがスタートです。
② 整える|必要最小限で“ねじれ”をリセット
評価で見つかった問題に対して、
-
動きにくい関節
-
硬くなっている組織
-
ねじれたまま固定されている部分
を必要最小限整えます。
目的は、
-
たくさんほぐすこと
-
一時的に楽にすること
ではありません。
「正しく動ける土台」をつくることこれが“整える”フェーズの役割です。

③ 鍛える|膝を守れる「使い方」を身体に覚えさせる
最後に行うのが、鍛えるフェーズです。
ここでの「鍛える」は、
-
重たい負荷
-
きついトレーニング
を意味しません。
-
股関節で支える
-
足部を安定させる
-
体重を安全に乗せる
こうした膝に負担をかけない使い方を、
エクササイズと動作練習を通して再学習していきます。
ゴールは「意識しなくても、膝に負担がかからない動き」です。
まとめ|「ケガじゃない半月板損傷」は“使い方”を変えることが回復の近道
40代以降に多い半月板損傷は、
転倒やスポーツといった明確なケガが原因ではないケースが少なくありません。
-
膝の内側〜やや後方が痛い
-
きっかけが思い当たらない
-
注射や安静で一時的に良くなるが戻る
こうした場合、
問題は半月板そのものではなく、
日常動作での膝の使い方にあることが多いのです。
特に、
Knee-in toe-outの歩き方や
股関節・足部で支えきれない動作が続くと、
半月板は毎日の生活の中で繰り返し挟み込まれ、
痛みや違和感につながります。
そのため、
-
治療の内容
-
手術をするかどうか
以上に重要なのが、
「治療後、どう動くか」という視点です。
日常動作型の半月板損傷では、
リハビリは筋トレだけで終わりません。
-
膝に負担が集中しない
-
無意識でも安全に動ける
-
日常生活で再発しない
こうした状態を目指して、
動きそのものを見直し、再学習することが回復と再発予防の鍵になります。
「年齢のせい」と片付ける前に、
膝が頑張らなくていい身体の使い方を、一度見直してみてください。
執筆
片浦 聡司
PRO-motion代表取締役 / 理学療法士 / 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT) / (公財)日本オリンピック委員会(JOC)医科学強化スタッフ(水泳競技(2015~2016))
名古屋大学医学部卒。急性期病院で整形外科領域を中心に臨床経験を積み、姿勢・動作の分析から痛みや不調の原因を見立て、再発予防につながるコンディショニング指導を得意とする。
2015年より2年間、JOC医科学強化スタッフとして国際大会(ユニバーシアード等)にも帯同。
高齢者からトップアスリートまで幅広くサポートしている。
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