「正しい姿勢って、結局どれが正解なんだろう?」
猫背が気になって胸を張ったり、背筋を伸ばしたり…。
でも実はその“頑張って整えた姿勢”が、反り腰になって腰に負担をかけていたり、首や肩がガチガチに力んでしまったりする方は少なくありません。
理学療法士の立場からお伝えすると、正しい姿勢は「見た目がキレイ」だけでは決まりません。
大事なのは、長く続けても疲れにくいこと、そして体のどこか一部に負担が偏らないことです。
この記事では、よくある「正しい姿勢=一直線」という基準を押さえつつ、
それだけでは改善しない人のために、
を、できるだけ分かりやすく解説します。
「姿勢を意識してもすぐ戻る…」
「頑張るほど疲れる…」
そんな方ほど、ぜひ最後まで読んでみてください。
正しい姿勢とは?|一直線より大切な「疲れない」という基準
「正しい姿勢」と聞くと、多くの人が一直線という説明を思い浮かべるのではないでしょうか。
たしかにこれは、立った姿勢を評価するうえでのひとつの目安です。
しかし、理学療法士の視点で見ると、一直線=正解とは限りません。
なぜなら、同じ一直線に見える姿勢でも、
-
腰を反らして無理に立っている
-
首や肩に力が入りっぱなし
-
呼吸が浅く、数分で疲れてしまう
といったケースが非常に多いからです。
正しい姿勢の本当の定義は「ラクに保てること」
私たちが考える正しい姿勢とは、
意識しなくても、ある程度その姿勢でいられる状態です。
具体的には、
-
特定の場所(首・腰・膝など)だけが頑張っていない
-
力みが少なく、呼吸が自然にできる
-
数分〜数十分立っていても、どこかがつらくならない
こうした条件を満たしている姿勢こそが、
身体にとって“正しい姿勢”と言えます。
逆に言えば、
-
胸を張らないと保てない
-
気を抜くとすぐ崩れる
-
良い姿勢を意識すると疲れる
このような場合は、見た目が整っていても、
身体のどこかに無理がかかっている可能性が高いです。
姿勢は「形」ではなく「結果」
姿勢は、意識して作るものではなく、
身体の使い方の結果として“そうなっている状態”です。
筋肉のバランスや、関節の動き、日常生活でのクセによって、
人それぞれ“崩れやすいポイント”は異なります。
そのため、
「とりあえず胸を張る」「背筋を伸ばす」だけでは、
猫背が反り腰に変わったり、首や腰の痛みが増えたりすることも珍しくありません。

まずは30秒|正しい姿勢セルフチェック(壁を使って確認)
「正しい姿勢かどうか」は、
感覚だけで判断するのはほぼ不可能です。
自分ではまっすぐ立っているつもりでも、
実際には「頭だけ前」「腰だけ反りすぎ」など、
ズレが起きていることがほとんどだからです。
そこでまずは、壁を使った簡単なセルフチェックを行ってみましょう。
セルフチェックのやり方
-
壁に背中を向けて、普段どおりに立つ
-
そのまま一歩ずつ下がり、身体を壁につける
-
次のポイントを確認する
この4点が自然に壁につき、
腰と壁の間に「手のひら1枚分」ほどのすき間があれば、
ひとつの目安としてはOKです。

チェック結果|あなたはどのタイプ?
ここからが大切なポイントです。
「つく・つかない」だけで終わらせず、どこがズレているかを見ていきます。
① 比較的バランスが取れているタイプ
※このタイプでも、動作時に崩れる人は非常に多いです。
② 猫背タイプ
③ 反り腰タイプ
④ ストレートネックタイプ
※実際には
「猫背+反り腰」「ストレートネック+猫背」など
複合タイプが最も多く見られます。

なぜ姿勢は崩れるのか?|原因は「弱さ」より“使い方のクセ”
猫背・反り腰・ストレートネック。
これらはよく「筋力不足が原因」と言われますが、
臨床で多いのは 筋肉が弱いから崩れる というより、
“特定の場所だけで身体を支えるクセ”がついている
というケースです。

猫背タイプ|前側が縮み、背中がサボる
猫背の方に多いのは、
-
長時間のデスクワーク・スマホ
-
前かがみ姿勢が続く生活
この結果、
-
胸・お腹の前側は縮んだまま
-
背中や肩甲骨まわりは使われなくなる
という状態が起こります。
このタイプは
「背筋を伸ばす」ほど疲れやすいのが特徴です。
それは、使えていない背中を“いきなり働かせよう”としているから。
反り腰タイプ|腰だけで支えるクセが強い
反り腰の方は、
と感じることが多いです。
これは、
-
お腹・股関節まわりがうまく使えず
-
腰(背中の下側)だけで身体を支えている
状態。
「良い姿勢を意識すると腰がつらい」
という人は、このタイプが非常に多いです。
ストレートネック|首の問題では終わらない
ストレートネックは、
首だけを直そうとしても改善しにくい代表例です。
実際には、
-
胸郭(胸〜背中)が固い
-
肩が前に入り、頭が前に出る
という“土台の問題”が重なっています。
首を無理に引くと、
かえって首や肩の緊張が強くなることもあります。
一番多いのは「混合タイプ」
現場で最も多いのは、
といった複合タイプです。
この場合、
という順番を間違えると、
「一時的に良くなるけど、すぐ戻る」状態になります。
姿勢は“部分修正”では変わらない
姿勢は、
を直しても、根本的には変わりません。
大切なのは、
-
どこで支えているかを知る(評価)
-
固まっている所を先に整える
-
正しい使い方を身体に覚えさせる
という流れです。
今日からできる|正しい姿勢に近づく“タイプ別エクササイズ”
姿勢を変えようとすると、
つい「背筋を伸ばす」「胸を張る」ことを頑張りがちですが、
それでは長続きしません。
大切なのは、
崩れやすい所を最小限だけ整え、自然に戻れる状態を作ることです。
ここでは、
先ほどのセルフチェックで分かったタイプ別に、
今日からできる・1分程度のエクササイズを1つずつ紹介します。
猫背タイプ|肩甲骨を「大きく動かす」
猫背の方は、
肩甲骨が 寄る・開く・上がる・下がる という
基本的な動き自体が小さくなっていることが多いです。
肩甲骨4動作エクササイズ
やり方
-
背すじを軽く伸ばして立つ(または座る)
-
肩甲骨を
① 寄せる → ② 上げる → ③ 下げる → ④ 緩める
をゆっくり順番に行う
-
1動作2〜3秒、呼吸を止めずに
-
1セット5周ほど
ポイント
-
肩や首に力を入れすぎない
-
大きく動かそうとしなくてOK
-
「動いている感覚」を大事に
肩甲骨が動き出すと、
自然に背中が起きやすくなり、猫背が戻りにくくなります。
反り腰タイプ|お尻(殿筋)をゆるめて、腰の反りを逃がす
反り腰の方は、
腰を反らせて支えるクセが強く、
お尻の筋肉がうまく使われていない or 固まっていることが多いです。
殿筋ストレッチ(斜めクロス)
やり方
-
四つ這いの姿勢になる
-
右膝を前に出し、右すねを体の前に斜めに置く
-
左脚はまっすぐ後ろへ伸ばす
-
背すじを伸ばしたまま、左手を床につき、上半身を右斜め前へ伸ばす
(お尻を伸ばしている側と反対方向へクロスするイメージ)
-
右のお尻の奥に伸びを感じたところで、20〜30秒キープ
-
左右を入れ替えて、各2〜3回行う
ポイント
-
伸びを感じるのは腰ではなく、お尻の奥
-
背中を丸めすぎず、軽く伸ばした状態を保つ
-
ひねりは無理せず、呼吸を止めない
注意
-
股関節や膝に鋭い痛みが出る場合は中止
-
無理に深く倒そうとしなくてOK
お尻の奥がゆるむと、
腰だけで身体を支えなくてよくなり、反り腰が自然に落ち着きやすくなります。
ストレートネックタイプ|胸椎を伸ばして“首の土台”を作る
ストレートネックは、
首だけを動かしても改善しにくく、
胸椎(背中の上の方)の硬さが大きく関わっています。
胸椎伸展エクササイズ(台におでこ・肘)
やり方
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台や机の前に立ち、肘とおでこを乗せる
-
肘で軽く台を押しながら、胸を床方向へ落とす
-
首は反らさず、背中(胸の後ろ)が伸びる感覚を意識
-
5〜10秒キープ × 5回
ポイント
-
首だけを反らさない
-
胸が広がる感覚を優先
-
痛みが出る場合は中止
胸椎が伸びると、
頭が“正しい位置に戻れるスペース”が生まれます。
1日1分でいい。「頑張る姿勢」は続かない
どのタイプにも共通する大切な考え方があります。
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良い姿勢を作ろうとしない
-
一部だけを頑張らせない
-
短時間・低負荷でOK
姿勢は、
意識して保つものではなく、無意識で戻れる状態がゴールです。
まとめ|正しい姿勢のゴールは「意識しなくても崩れない状態」
正しい姿勢は、
「胸を張る」「背筋を伸ばす」といった努力の姿勢ではありません。
大切なのは、
-
特定の場所(首・腰・膝)が頑張りすぎていない
-
呼吸が自然にできる
-
気づいたら戻れている
そんな “疲れない姿勢” です。
そのために必要なのが、
PRO-motionが大切にしている次の3ステップです。
評価 → 整える → 鍛える
① 評価
まずは、
「どこで身体を支えているか」
「どこに負担が逃げているか」を知ること。
姿勢は人によって崩れ方が違います。
いきなり運動を始めても、
ズレたままでは元に戻ってしまいます。
② 整える
次に、
固まって動きにくくなっている部分を
必要最小限だけゆるめ、動きを出します。
やりすぎるストレッチや、
痛みを我慢する調整は逆効果です。
③ 鍛える
最後に、
正しい使い方を身体に覚えさせる。
ここまで来て初めて、
「意識しなくても崩れにくい姿勢」
が定着していきます。
姿勢は「直すもの」ではなく「整った結果」
姿勢を良くしようとして疲れてしまう人ほど、
これまで 順番を間違えてきた だけかもしれません。
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形を作る前に、状態を知る
-
頑張る前に、動ける身体を作る
-
一時的な改善で終わらせない
これが、
私たちが考える 姿勢改善=コンディショニング です。
「姿勢を意識してもすぐ戻る」
「良い姿勢がよく分からない」
そんな方は、
一度ご自身の身体を 評価から見直す ことをおすすめします。
正しい姿勢は、
努力の先ではなく、整った身体の先にあります。